塩もなか:長野県大鹿村
塩泉の謎と中央構造線
大鹿村には食塩泉の温泉が湧いています。古事記に登場する建御名方神(たけみなかたのかみ)が鹿狩りの際に見つけたとか、弘法大師が塩の調達に難儀していた村人の為に湧き出させたという伝説が残っています。明治になると岩塩を探しに鉱山師がやってきましたが、結局見つからず塩の源は謎でした。現在では日本列島が形成される途中で閉じ込められた海水が源と推測されています。
九州東部から関東まで日本列島を横断する世界第一級の断層、中央構造線が大鹿村を通っています。構造線をはさんで地質が異なっており、その境目が地上に露出している場所が数か所あります。なかでも安康露頭と北川露頭は国道152号沿いの川岸のわかりやすい場所にあり、国の天然記念物に指定されています。また、地質の分布が石の実物で展示されている中央構造線博物館があります。地滑りの資料映像もあり、窓からは大西山の大崩落跡がよく見えます。
日本一美しい村連合に加入している大鹿村には、伝説の大池や夕立神パノラマ展望台といった名所があり、高地でしか育たないヒマラヤの青いケシの農園もあります。また、村民による大鹿歌舞伎が300年以上に渡り伝承されており、地芝居としては初めて大阪の国立劇場で上演されました。産物としては村内のみで数量を制限して販売されている温泉水から作る山塩の他に、大鹿唐辛子やブルーベリーがあります。ただ、土砂崩れが多いので、訪れる際には事前チェックが必要かと思います。
2023年3月最中旅
画像2:中央構造線北川露頭
画像3:構造線外帯の薄緑色の塩川の川床
最中暦:5月10日
大正天皇ご成婚に山塩を献上
大鹿村内のみで少量販売される山塩がこの時ばかりは村が自ら外に持ち出しました