しっぺい太郎最中:静岡県磐田市

 

霊犬の怪物退治

鎌倉時代のことです。遠州見付の町には8月に白羽の矢が立った家の娘を人身御供として神に差し出すという習わしがありました。不審に思った旅の僧が確かめに行くと、それは神ではなく怪物で、信州の悉平太郎(しっぺいたろう)を恐れていることがわかりました。信州を探し回った僧が見つけたのは、駒ケ根の光前寺に住む山犬の子でした。悉平太郎を借りて見付に戻り、娘の代わりに白木の箱に潜ませて、首尾よく怪物を倒したのでした。

磐田市と駒ケ根市は友好都市になっていますが、駒ケ根市では同じ伝説の犬が早太郎または疾風太郎と呼ばれており、駒ケ根には早太郎最中があります。また、宮城県や滋賀県にも似た話があって、字は違ってもしっぺいたろうと言うそうです。怪物を倒した後の悉平太郎ですが、①相打ちだった ②駒ケ根に帰る途中で力尽きた(途中の山に墓あり) ③光前寺に戻り、和尚の顔を見て一声吠えて息絶えた ④光前寺で幸せに暮らした と諸説あります。

伝説の舞台となったのは見付宿の東の端にある矢奈比賣神社(やなひめじんじゃ) で、菅原道真を合祀しているため見付の天神様と呼ばれています。二の鳥居の脇に悉平太郎の銅像があり、犬を連れて入ることができる数少ない神社のひとつです。神社の裏のつつじ公園には霊犬神社という別社もあります。

2020年1月最中旅
画像2:見付天神の悉平太郎像
画像3:つつじ公園の霊犬神社(2021年4月追加)

最中暦:9月7・8日
見付天神の裸祭り(旧暦8月10日直前の土日)
悉平太郎の怪物退治後にそれまでの泣き踊りが歓喜の鬼踊りになったと伝わる

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説明

最中と菓子舗

三角耳が凛々しい犬の形の最中で、程よい甘さの粒餡です。当初は小豆粒餡2個と白小豆餡1個の3個セットで、「太郎最中」という名称でした。なぜ悉平太郎最中にしなかったのかと店の人に尋ねたところ、独自の型を使っていないので悉平と付けるのを遠慮したとのことでしたが、2021年にはしっぺい太郎最中として小豆餡2個のパックになりました。2個350円

井口製菓
静岡県磐田市見付2663 0538-32-3951 水曜定休
見付宿の中程、見付郵便局の隣で、見付天神の裸祭りに出される粟餅を作っています。国分寺最中(史跡・遺物、静岡県)も扱っている店で、磐田市のキャラクターの「しっぺい」グッズも販売中。