猿蓑もなか:三重県伊賀市

 

松尾芭蕉 故郷へ帰る

芭蕉が奥の細道の旅を終え、伊勢の神宮から伊賀に向かった際、国境の長野峠で詠んだ句があります。「初しぐれ猿も小みのをほしげ也」ユーモラスな句との解釈と、山中で冷たい雨に濡れる猿の姿に己を投映したという正反対の解釈があります。2年後に別の俳人二人によって編纂された俳句選集の巻頭に掲載され、その書名も「猿蓑」と付けられました。

街中から20km東の、津市との境にあるのが長野峠です。長野トンネルの上に続く道に入っていくと道の脇に石碑がいくつか立っており、一際高い場所にあるのが猿蓑の句です。芭蕉がここを通ったのは旧暦9月24日、現在の11月5日です。峠と中心街の中間には旧平田宿があり、昔の宿場町の雰囲気を残しています。

裕福ではなかった芭蕉が奥の細道の長旅の路銀をどうやって工面したのか。46歳にしてはかなりの健脚。当時公儀隠密は江戸に住んでおり、芭蕉も江戸住まいだった。こんな状況から、芭蕉は諸藩の内情を探るため幕府が遣わした隠密との説があります。故郷伊賀の伊賀上野城跡には、芭蕉の旅姿を模した俳聖殿と記念館があり、芭蕉も見たであろう藤堂高虎の高石垣が残っています。また、伊賀流の忍者屋敷があり、忍者ショーや忍者体験ができます。伊賀は和菓子の街でもあり、和菓子店を巡る企画も常時行われています。

2023年10月最中旅
画像2:長野峠の猿蓑の句碑
画像3:伊賀上野城公園の俳聖殿

最中暦:11月5日
芭蕉が猿蓑の句を詠む
元禄2年旧暦9月24日(1689年)奥の細道の旅を終えた後、神宮参拝後に伊賀へ向かう途中で

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説明

最中と菓子舗

小蓑と笠を模ったヒメノモチの皮種に、甘さ控えめの大納言の粒餡がたっぷり入っています。芭蕉の猿蓑の句が書かれた包みは茶色が粒餡、薄緑色はレーズンの甘みが効いた白餡です。1個175円

つばや菓子舗
三重県伊賀市平田383 0595-47-0029 月曜定休
伊賀上野城の南の国道163号を東へ10kmほどの平田宿の旧伊賀街道沿いにあります。漢字では津波屋。伊賀の郷土菓子の背黒(せえくろ)餅は正統派を名乗っています。駐車場1台分ありますが、店前への駐車も大丈夫です。